輸液を学ぶ人のために/和田孝雄 近藤和子
要点part1
- 半透膜:半分だけ通す→溶媒は通すけど、溶質は通さない
- 輸液のNaの摂取量に明確な規定はない、その人による→無難な量という考え方をする
- 食塩の摂取量は経口でも輸液投与でも同じ
- 健常な日本人であれば、経口では一般に12gと考えておく
→軽度の食塩制限なら6g、中等度食塩制限なら3g、高度食塩制限なら0g
- 1gの食塩は17mEq 暗記
3gならおおざっぱに50mEq、6gなら100mEq 、12gなら200mEq と捉えておく
- いろんな権威ある先生方の食塩の維持量というものは、大体、軽度〜中等度の間くらいが多い
つまり4.5gくらい→75mEq くらいを無難なNa量としている
- 生食→0.9% 暗記
生食とは浸透圧が生理的という意味→NaとClで細胞外液中の各種電解質を代用するため、
血清Na 140mEq /l (ついでにK 4mEq /l)
などと合わせて、
その他もろもろの電解質を考慮して、トータル濃度は血清Naの1割増しくらい、つまり、140×1.1倍で154mEq/l
よって生食500mlで半分の77mEq となり、先ほどの無難な維持量に等しくなる
0.9%の生食1lあれば、食塩としては9g→500mlなら4.5gとなり、やはり無難な維持量と一致する
暗記ポ
1日の無難な量とは、大体生食1本すなわち、0.9%の500ml、食塩として4.5g、Naとして77mEq
1000mlの生食は食塩量9g、Na濃度は154mEq/l、血清Naの1割増し
- 生食を安易に点滴するのは危険
- 代謝水:炭水化物や脂肪が燃えた際にできる水、200mlくらい
食事摂取0だと、より体の構成成分壊されて増える
- 不感蒸泄:呼吸による分、皮膚からの喪失分、900mlくらい 汗は×
→上2つを合わせて、
収入)輸液量x + 代謝水200ml = 支出)尿量y + 不感蒸泄 900ml
基礎輸液量x = 尿量y + 700ml
→尿量は、前日の量ではなく、当日の予測尿量
ここを間違えると入れたから出てるのか、出たから入れてるのか分からなくなる
不感蒸泄-代謝水: 600〜800ml、Na、K 0mEq
尿: 800〜1000ml、Na 50〜70、K 50〜60mEq
→合わせて基礎輸液量 1400〜1800ml
- 維持輸液について。
→患者さんは悪くなっていないけど、とにかく維持していくための輸液
- NaCl 1g 17mEq 、KCl 1g 13mEq
- (足すと30mEq とか7:3とかで暗記)
- ブランドの維持輸液←えらい先生の名前
水の排泄予測量 尿1300、不感蒸泄800、Na 75mEq 、K 40mEq
→10%Glu1600、生食500、KCl 3g で計 水2100、Na 77mEq 、K 40mEq 、糖150g
- スクリブナーの維持輸液
水の排泄予測量 尿1500、不感蒸泄1000、Na 50mEq 、K 40mEq、Cl 90mEq
→この2つから分かるように、維持量なんてあってないようなもので、結構適当(Na量も尿量もバラバラ)
→この2つには代謝水の概念が入っていない…?
→ 200程度の水は考慮するに値しない(やっぱてきとー…)
→だから細かなことは気にせず無難な維持量だのを入れてみて、尿量測定や浮腫などの所見から微調整していく、という流れ
- 低Na血症について。
Na欠乏、水過剰、どっちも過剰、偽性の4パターン
→経験上、ほんとにNa欠乏している人は少ない…
→Na補充すればいいってものではない
→治療法としてはNaを入れるか、水を出してやるか
(Na入れて一時的に上がってもすぐ戻ったりする、しかし、水制限すると痰がねばっこくなって窒息してしまったなんてケースも…)
→炭酸Liやレダマイシン、ハイドロコルチゾンなど使って人工的に尿崩症起こすのも一手だったり
- 高Na血症について。
水分摂取減少、水分排泄増加、(原発性Ald症、食塩摂取過剰、透析療法の合併症)←まれ
Na過剰、水欠乏Na過剰、高張性Na欠乏(水欠乏がNa欠乏を上回るパターン)、水欠乏の4パターン
しかし、同じくNaがたまる浮腫性疾患では、低Na血症になるので注意が必要
→でも、皮膚は乾燥しているのに、浮腫が見られる患者さんなどと診断が難しいケースも多々
→やはり少しずつ治療をして反応を皆がら調節していくしかない
治すのは検査所見ではなく、患者さん。
検査所見を上手に使える臨床家とは、検査所見がなくともかなりの治療を行える人のこと
検査所見で鬼に金棒といったイメージ