あうとぷっと。

めも。雑記。

輸液を学ぶ人のために/和田孝雄 近藤和子

 

 

 

 

要点part2

 

 

 

 

  • 脱水症について。

マリオットの分類と古典的な分類でごちゃる

 

等調整脱水→Na減っていて水も減っている(同程度に)

低張性脱水→Na減っていて水もちょい減っている←Naが足りなければどうしても水が減るもの

高張性脱水→水減っている

混合性脱水→Na減っていて水はもっと減っている←低張性より水の減り具合が大きすぎるもの


→よく分からんけど分類がごちゃっていてわかりにくいし大事ではない 

Naが足りないと言えば、すぐに低張と考えてしまいがち…

 

 

 

  • より実践的な考え方

低張性だの高張性だのいうのは、血液をとってみた結果の話

水の欠乏とNaの欠乏のバランスの組み合わせで脱水症が起こると考えておく

 

 

 

  • マリオットによる水欠乏とNa欠乏の症状比較

Na欠乏の場合、浸透圧が下がったわけだから口渇はあまりない、しかし、循環障害は強いので倦怠感であったり立ちくらみはつよめ

尿量は浸透圧が高くなると減る(ADHで)、Na欠乏なら浸透圧がそこまで高くならないから末期まで比較的正常なんてことも

→尿量の減らない脱水症もある

尿中のNa濃度はNa欠乏で下がる

などなどあるが、分かりにくい…

 

 

  • より実践的な考え方

脱水症の主症状

 

1 細胞外液浸透圧の上昇→口渇、濃縮尿、精神症状

 

2 細胞外液量とくに間質液の減少→皮膚弾力性の低下、粘膜皮膚の乾燥、舌の容積減少、眼の落ちくぼみ、眼圧低下、ヒポクラテス顔貌

 

3 細胞外液量とくに循環血漿量の減少→頻脈、起立性低血圧、表在静脈の虚脱、体温低下、腎循環障害(BUN↑)

 

4 細胞内中毒による症状→頭痛、嘔吐、痙攣、意識障害←細胞内の水中毒による

 

これらがどういうバランスになっているか、どの症状が強めに出ているかなどを判断する

 

 

 

 

 

  • 重症度について。

0〜4%軽症

4〜8%中等症

8〜12%重症

 

考え方としては、まず、体液量としてどのくらい失われたか見て、

次にその液の状態はNaの濃い状態で失われた(ほぼないけど)のか、薄い状態で失われたのか見ていく

 

 

 

  • 投与量について。

軽症:維持量+補充量0〜1l

中等症:維持量+補充量1〜2l

重症:維持量+補充量2〜4l

(維持量2l)

 

 

 

  • 輸液剤種類4つ

等張:Na 154mEq/l、外科的Na補充液

1/2等張:Na 77mEq/l 、内科的Na補充液、1号液

1/3等張:Na 51mEq/l 、Na補充、維持兼用、2号液

1/4等張:Na 38mEq/l 、水補充、維持兼用、3号液

 

 

 

  • 輸液のコツ

維持輸液2l + 補充輸液の1/3

→維持輸液2lでかなり修正されるため1/3なんていう少量ずつでなんとかなる

(維持輸液 生食500ml、5%Glu 1500ml)

 


例えば、

中等症の脱水症に維持量2lと補充1lで3lを1/2等張(この場合は生食1500、5%Glu 1500ということ)で入れるとすると補充輸液の内訳:

生食x ml、 5%Glu y mlとして

→生食:500+x=1500 、5%Glu:1500+y=1500

 

つまり補充輸液としては生食x=1000ml、5%Gluy=0mlとすれば良い

こんな感じで計算していく

 

 

 

 

  • 点滴速度について。

目安は1秒1滴

→1分で3mlとなり、500mlの点滴で2時間45分かかる

 

→アイウエオで1秒測れるように練習する

 

→だいたい20滴で1ml

 

 

 

 

  • 簡易化すると

第0度 1ml/min 20滴/min 60ml/hr very slow 

小児、高張液

 

第1度 2ml/min 40滴/min 120ml/hr slow

維持輸液

 

第2度 4ml/min 80滴/min 250ml/hr moderate

維持+補充

 

第3度 8ml/min 160滴/min 500ml/hr rapid 

補充

 

第4度 16ml/min 320滴/min 1000ml/hr very rapid 

緊急輸液

 

第5度 32ml/min 640滴/min 2000ml/hr extremely rapid

緊急輸液

 

↑2のべき乗で覚える(1.2.4.8.16.32)

 

 

 

 

  • 時間尿について。

不感蒸泄ー代謝水700ml(1日)は、

分単位にすればだいたい0.5ml/min(700ml ÷1440min)

 

つまり、1ml/minで輸液していれば、尿量は0.5ml/minとなる

 

これを上の輸液速度の表っぽくしてみると、やっぱり2のべき乗(0.5 0.25 0.125)で整理して、

 

第-3度 0.125ml/min 7.5ml/hr 180ml/day

第-2度 0.25ml/min 15ml/hr 360ml/day 乏尿

第-1度 0.5ml/min 30ml/hr 720ml/day 正常少なめ

第0度 1ml/min 60ml/hr 1440ml/day 正常多め (ここから上は尿量の覚え方)

第1度 2ml/min 120ml/hr (ここから下は輸液速度の覚え方)

第2度 4ml/min 250ml/hr

第3度 8ml/min 500ml/hr

第4度 16ml/min 1000ml/hr

第5度 32ml/min 2000ml/hr

 

 

 

 

 

  • Kについて。

生体のKの98%は細胞内にあり、2%くらいが外に漏れてきた、と考える

 

1日量40mEq 、3g、1単位

 

安全域としては速度にして10mEq/hr、濃度にして40mEq/lてとこ

 

 

 

  • 栄養輸液について。

糖質:1g 4kcal

タンパク質:1g 4kcal

脂肪:1g 9kcal

アルコール:1g 7kcal

 


→輸液ではタンパクは、アミノ酸として入れる

→どうせ体内でアミノ酸に分解してから使うから

 

 

  • タンパク質は平均で16%の窒素を含む→100/16=6.25を 窒素係数 という

 

  • アミノ酸が結合する時に、結合水H2Oがとれてタンパク質になる→タンパク1gはアミノ酸1.23gに等しい

よって1gのNは6.25×1.23=7.7gのアミノ酸

 

 

E/T比、E/NE比…などなどあるが、

一番大事なのは NPC/N比(非タンパク性カロリー対N比)150〜200

 

つまり、脂肪と糖質によるカロリーとNの比のこと

 

1gのNあたり、150〜200キロカロリーの熱量をタンパク以外で摂取しないといかんということ

→いい状態でタンパクを入れてあげたい

アミノ酸をいくら入れたら、どのくらい他のブドウ糖を入れたらいいかを考える

→他のカロリーが少ないとアミノ酸が熱源として利用されてしまい、タンパク質が合成されない

 

 

 

 

  • 窒素平衡の例

N量10gが標準→タンパク量にして62.5g=約60gとして、

尿中に10gのNが排泄されたら、その92.5%は尿素の形で出ていく→尿が出ないとすぐ血中のN上がる

便にはその1/10の1g

皮膚とか垢、爪とかで失う分がさらにその1/10で0.1g

 

上3つ足すと11.1g→タンパク量にして6.25倍の68、69gくらい

体重60kgと考えれば1.16g/kg→だいたい1.2gプロキロとなり正常なタンパク摂取量と一致する

 

 

 

  • 高カロリー輸液では水電解質輸液に比べて水やNaの量がかなり多い

→高カロリー輸液の対象となる患者さんでは、一般にドレーンなどが留置されており喪失分が多いから+高張液による利尿作用があるから、

と考えられる

 

 

 

  • 暗記ポ

体重1kgあたりの電解質の投与量として覚える

→Naプロキロ2mEq 、Kプロキロ1mEq

 

最近はmEq からmmolが使われるように(荷電により変化してしまうから)

 

体重1kgあたりの電解質は、

Na  1~2 mmol/kg

K  1 mmol/kg

PO4  0.1~0.2 mmol/kg

Mg  0.1 mmol/kg

Ca  0.1 mmol/kg

 

 

 

  • トレースエレメントについて。

=微量元素→Fe,Cu,Zn,Mn,I,Fなど

 

mmolからさらに1/1000したμmolが使われる

 

 

 

 

 

  • カロリーについて。

kcal/kg    kcal/60kg

5      300 (ここから低カロリー食)

10     600 肥満食

15     900  肥満食

20     1200 臥床安静時

25     1500 座位安静時 (ここから標準食)

(30〜60を高カロリー輸液という)

30     1800 軽作業者  

35     2100 軽作業者

40     2400 中作業者 (ここから高カロリー食)

45     2700 中作業者

50     3000 重作業者

55     3300 重作業者

60     3600 アスリート

 

  • 寝てるだけでも1200キロカロリー消費する
  • 経口摂取だと、糖質70%、脂質20%、タンパク質10%って感じ
  • 高カロリー輸液だと糖質80%くらいになる(脂質10、タンパク質10)

 

 

糖質 10g/kg

脂質 1g/kg

タンパク質 1g/kg(アミノ酸換算)

 

 

  • 高カロリー輸液を中心静脈から入れるのは、浸透圧が高いから(糖のせいで)

→中心静脈なら血液量が多く浸透圧を薄められる

→抹消から入れると血管壁が障害されて血管に沿って腫れたり痛みが出たりして、最悪潰れてしまう

 

 

 

  • メイラード反応

→糖とアミノ酸の相性悪く、高濃度で接すると固まってしまう

→2バッグ方式だったりする

 

 

 

 

 

  • 高カロリー輸液の合併症について。

 

1カテーテル関連

感染症血栓、空気塞栓

 

2代謝関連

高血糖、浸透圧利尿、各種電解質欠乏、過剰、肝機能障害、高アンモニア血症、ビタミン欠乏、微量元素欠乏、必須アミノ酸欠乏

 

3絶食

胆汁うったい、消化管粘膜萎縮

 

4その他

胆石、尿路結石

 

など

 

 

 

 

  • 必要な検査とスケジュールについて。

体重 成人 週2回、小児 毎日

尿糖 テステープ 4回/日(6時間おき)

血糖 週2回

血算、BUN、Na、K、Cl、も週2回

Mg、Ca、P、アンモニア、ASTALT、Alb、TP、Fe、Cu、UIBC、Zn、は週1回

尿量、尿比重、尿タンパク、ケトン体、1日1回