鑑別シリーズ〜腰背部痛〜
総論
- 腰背部痛のほとんどは筋骨格系の良性疾患であるが、5〜10%はRed Flag Signを呈する疾患である
→時間単位で対応が必要な大動脈瘤破裂、馬尾症候群
→日単位で対応が必要な骨髄炎、膵炎、腎盂腎炎
→週単位で対応が必要な悪性腫瘍の骨転位、多発性骨髄腫、脊髄腫瘍
など
これらを鑑別するために、
発熱
夜間・安静時痛
下肢の運動・知覚障害
排尿排便障害
その他の症状
の有無を問診する
鑑別
腹部大動脈瘤破裂
大動脈解離
馬尾症候群
急性膵炎
腎盂腎炎
腎梗塞
悪性腫瘍の骨転位
多発性骨髄腫
化膿性脊椎炎
急性腰痛
腎・尿路結石
脊椎滑り症
腰部脊柱管狭窄症
膵体尾部癌
慢性膵炎
膵頭部癌
強直性脊椎炎
腎細胞癌
各論
- 腹部大動脈瘤破裂
→血管雑音、拍動性腫瘤
→US、CT
- 馬尾症候群
→緊急の除圧手術
→腰背部痛では必ず膀胱直腸障害、下肢の運動障害の有無を聴取する
- 骨髄炎
→安静時、夜間に認め、体動による増悪あり
→CT、MRIによる確認も x線は異常出るまでに3週間くらいかかる
- 悪性腫瘍の骨転位
→夜間安静時の疼痛
→X線で椎弓根の消失
- 腎梗塞
→血栓リスク
- 腎尿路結石
→USで水腎症、KUB撮影で結石の確認
- 椎間板へルニア
→Dejerine徴候(咳やくしゃみで下肢痛が増悪する)
→神経学的初見とMRI
- 腰部脊柱管狭窄症
→間欠性破行きたす疾患として閉塞性動脈硬化症との鑑別
→抹消動脈の診察(足背動脈、後脛骨動脈)
→高齢女性で亀背、身長低下、腰背部痛
→骨密度測定(DEXA)、脊椎X線
- 慢性膵炎
→X線で粒状石灰化、USでびまん性石灰化膵管結石、膵の萎縮
→二次性の糖尿病も鑑別
- 強直性脊椎炎
→5%前後でCrohn病や潰瘍性大腸炎などの炎症性疾患合併
→ぶどう膜炎、乾癬、肺繊維症
→HLA B -27
- 異所性妊娠
→必ず疑う、妊娠反応検査
- 腎細胞癌
→血尿、疼痛、腫瘤触知
→手術 放射線、化学療法は抵抗性